アメリカでの活動②(毎日新聞掲載記事 ’11)

今日はチアリーダーとしてチャリティーイベントに参加してきました。Play 60 というNFLが行っているチャリティーで、肥満が深刻な問題となっているアメリカの子どもたちに健康的な食生活と一日60分は外で体を動かすことを促すイベントです。子どもたちは、私たちチアリーダーとウォームアップした後、バッカニアーズの選手が実際に練習しているフィールドでNFL選手と一緒に楽しく運動していました。

自分たちに出来る事を、必要としている人に与える事=giving。これは世界最高峰のプロスポーツ、NFLでチアリーダーになるという夢の中で学び得た素晴らしい経験で、渡米前はチャリティー活動がここまで自分に影響を与えるとは思ってもいませんでした。

NFLチアリーダーの一般的なイメージとしては、アメリカンフットボールの試合に花を添え、応援するという事が最もしっくりくるのではないでしょうか。もちろんチアリーダーとしての役割は試合で応援する事が一番です。しかし、それ以外にも大変重要な役割があります。それはコミュニティーとチームをつなげる架け橋になる事です。そのコミュニティーとは、チームが在籍する都市を中心に、広くは“アメリカ”という国を意味することもあります。アメリカにはチャリティー文化が広く浸透しています。多くのチームメイトが個人的に様々なチャリティーをサポートしていますし、チームホームページのチアリーダー個人プロフィールにはそれぞれの好きなチャリティーの項目があります。

タンパベイバッカニアーズチアリーダーズ(以後TBBC)は、チーム組織の中で、コミュニティーリレーションズという部門に属しています。試合を華やかに演出するエンターテインメント部門ではないのです。これはカルチャーショックでした。

8年間、本当に様々なチャリティーイベントに参加しました。印象深いイベントは、前回お話しした退役軍人病院訪問や小児病院訪問、施設の子供達へのクリスマスプレゼント、老人ホームでのクリスマスキャロル、虐待を受けた家族に家を建てる運動、乳がん撲滅運動などです。チーム単体で行うイベントもあれば、他のチャリティー団体と協力して行う活動もありました。また、チアリーダーだけで行うイベントもあれば、選手と一緒に行うものもありました。どのイベントにも共通している事は、そのイベントにユニフォームを着て参加しお飾りになっている訳ではないという事です。それぞれのイベントごとに私たちTBBCとして出来る事を行い、バッカニアーズチアのユニフォームを着た私たちが人々に与えられるインパクトの大きさを大切にしています。

家を建てた時はタンクトップに短パンでとんかちと釘を握りしめて働きましたし、完成式典にも参加しました。また、ここ数年、NFLが力を入れている乳がん撲滅運動の活動の始まりからその発展を経験した事はとても興味深かいことでした。ピンクのポンポンを持つ事から始まり、今ではチアも選手もフィールドもピンクでいっぱいです。この運動では啓蒙運動から、募金活動、ピンクリボンマラソンでのストレッチ、ランナーへの応援などを行いました。クリスマスキャロルでは選手とチアリーダーが一緒にクリスマスソングを歌いました。

施設の子供達のプレゼントは、彼らと一緒に買い物に行って、75ドルという決められた金額の中で、電卓片手にやりくりしながら2人で買い物をしていきます。小さなメモにびっしりと書かれたプレゼントリスト。多くの子供たちのプレゼントリストは兄弟などへのプレゼントばかりで自分へのプレゼントが書いてありません。個人が先にくるアメリカ社会で、子供達が自分よりも周りを気に掛けている事に、苦しい立場にいる子供達を思い、切ない気持ちになりました。まずは自分が一番欲しい物を買っていいのよ、という説明をした後は子供達の表情がとたんに明るくなります。一緒に靴や洋服を選んだり、ガールズトークに華を咲かせたり、普通の事が彼らには普通にできません。金銭的なことだけではなくて、心に与えるインパクト、それにバッカニアーズというブランドが加わって、子供たちに何倍にも大きなインパクトを与えます。たった数十分の買い物が彼らには一生の思い出として残る事でしょう。子供達の明るい笑顔をみるだけで、幸せな気分になりますし、また次も頑張ろうと思います。

 

NFLチアリーダーは決して特別な人の集まりではなく、学生や社会人がほとんどです。そしてアメリカ人からも良く質問されますが、ほとんど報酬はありません。また、オーディションでは面接や筆記試験、時事問題についてのエッセーなどが課され、ダンス審査だけではありません。アメリカでは、NFLチアリーダーが心身ともに優れ、知的かつ自立性を持ち合わせた理想的な現代女性像として、「女性達のロールモデル」(社会の見本)と呼ばれている理由が少しでもお分かり頂けましたか?チアリーダーは脇役だからこそ、色んなシーンにはまり、主役(選手やコーチ)とコミュニティーをつなぐ役割も担っています。近い将来、日本にもこのようなチアリーダーの特性が広がるといいなと思います。

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